領域からのごあいさつ

これからの母性看護学と助産学

 

母性看護学・助産学とは、次世代の健全育成と女性の生涯を通じての看護実践の領域です。日本では江戸時代の産婆の活動に端を得、第2次世界大戦後のGHQ支配下の後に、保健婦助産婦看護婦法の制定により、看護師・助産師業務が明確となり、産科看護学から母性看護学へと発展しました。看護師になるためには、母性看護学を学ぶ必要があります。助産師になるためには、さらなる専門的知識・技術を学ぶ必要があります。

 

母性看護学・助産学分野は、生命の尊厳を重んじ、多様なヘルスケアへの要望にも応える事が必要な領域であると考えています。私たちが暮らす佐賀県では、出生率は人口千対7.5(約6000人)、全国の6.8に比較すると高いのですが、国レベルの少子化が進み、出生数も減少傾向です。
また、一人の女性が出産する子どもの数も佐賀県は1.6(R2)と全国の1.2よりは高いのですが、婚姻率は低く、今後少子化が進むことが懸念されます。
そのため、本学の母性看護学・助産学領域では、佐賀県の特性から子育て支援への母性・助産分野として参画したいと考えています。

 

新しい命を授かる前から、人の誕生にかかわり、親になる人々を支援することは、生命の尊厳を感じ、同時に母子とその家族の命に係わることから責任も重いです。しかし、一方で安心、安全、安楽を保証して、生命、親子の絆、人権を大事にして看護実践をすることは、看護の対象者からの恩恵や喜びが大きいのも事実です。本学には助産師になりたいと夢を抱いて多くの学生が入学しています。このような学生さんに、佐賀県及び近隣県、そして世界の子育て支援の状況を伝えながら、主体性を育み「理解する過程(思考)」を支援したいと考えています。佐賀大学での教育が基盤となって、多くの学生さんが将来的に佐賀県の子育て支援に携わってくれる事を願っています。本専門領域に所属する私たち教員は、看護師、助産師でありますので、リプロダクティブヘルス看護学の研究と大学院教育をしながら、学部生に対して母性看護学教育、助産師教育も担当しております。

 

私たちは、多くの看護実践者を志す人々にこの母性看護学と助産学の魅力や奥深さを知っていただくと同時に、大学院生等とともに看護学研究を通して社会貢献したいと願っています。高等教育である大学院教育では、担当する学生と共に対象の健康問題を多角的に分析し、専門分野における学術的知見を見出したいと思います。看護の質を向上させるために、研究的視点を養うことは必要不可欠であり、新たな知見を一緒に得ていきたいと思っています。

2024年1月12日

佐賀大学医学部看護学科
母性看護・助産学領域

 

 

 

TOPへ